全身麻酔で注意すべき患者さんの変化とケアのポイント

呼吸器・循環器、体温への影響を考えたケアが求められます

全身麻酔を行うことにより、手術侵襲で引き起こされる有害反射から生体を保護することができます。その一方で、呼吸・循環・代謝系を抑制することになるため、手術室看護師はそれらに対する管理を行う必要があります。

呼吸器系への影響

全身麻酔中は気道確保と人工呼吸管理が必要とされます。挿管中に肺へ送られる空気は乾燥しているため、痰が粘稠化して排出しにくくなるとともに、チューブによる術後嗄声や半回神経麻痺に注意が必要です。

術後呼吸抑制の原因としては、薬剤性の抑制と筋弛緩薬による呼吸筋の筋力低下が挙げられます。

前者には吸入麻酔薬や鎮痛・鎮静薬が関与します。吸入麻酔薬は換気量の現象と呼吸回数の増加が特徴であり、鎮痛・鎮静薬による呼吸抑制は呼吸回数の減少が特徴的です。

筋弛緩薬による呼吸抑制に対しては拮抗薬を投与しますが、効果の消失後に、残存する筋弛緩薬による呼吸抑制が再び現れることもあるので注意が必要です。

循環器への影響

麻酔薬による心抑制や末梢血管拡張作用、迷走神経反射、低酸素、低体温などによって、術中に血圧が低下することがあります。一方で、麻酔深度や疼痛によって血圧が上昇することもあり注意が必要です。

また、循環動態の変動に伴い、心筋に供給する酸素の需給バランスが崩れ、心筋虚血や不整脈が生じることもあります。

術後は循環血液量の変動や不安・疼痛などにより頻脈や血圧の低下・上昇をきたすため、体液バランスの管理とともに疼痛コントロール、不安や緩和するためのケアが必要です。

体温への影響

麻酔作用による熱産生量の低下、末梢血管拡張による熱の喪失、室温の低下、冷たい体腔内洗浄液や急速輸液などが術中低体温の原因となります。術中低体温は麻酔覚醒の遅延と覚醒時のシバリングを起こし、術後低酸素血症の原因にもなります。

また、低体温により心拍出量の減少と血圧低下を生じますが、交感神経は興奮状態にあるため、頻脈や心室細動など危険な不整脈を起こしやすくなります。

逆に、覆布によるうつ熱や過度の加温、脱水、感染などによって生じる体温上昇にも気をつけなければなりません。稀に、麻酔薬が悪性高熱症を誘発することもあります。悪性高熱症では最高体温が41℃以上になり、その際の死亡率は50%を超えます。発生率は低いものの、発症時の死亡率が高い悪性高熱症を常に念頭に置いた体温管理が必要です。

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